勝利!農務省が動物福祉の資料を再開示<米国>
2020年7月、PCRM*などの団体で構成されたグループによる農務省(USDA)に対する訴訟が終結した。USDAが動物福祉に関する記録を開示する方針を発表したからだ。この法廷闘争は、2017年2月にUSDAが動物福祉に関するオンラインデータベースを突如閉鎖したことから始まった。2017年8月に一部はデータベースに戻されていたが、残りは2020年になって戻された。議会が世論の圧力に応え、全データベースの復元を命じたのだ。
USDAの新しい声明では、動物実験施設や動物福祉法の管理下にあるその他施設の調査報告書、施設への警告書、違反者との法的和解などを開示するとしている。しかし、実際には開示されていない報告もあるため、PCRMはUSDAが後戻りする可能性があるのではと懸念している。
オンライン資料は残虐な動物実験に反対するPCRMにとって必要不可欠である。例えば、テキサス州サンアントニオにあるサウスウェスト国立霊長類研究センターに関するUSDA査察報告書では、生きているヒヒに部検を行ったなど多くの問題が明らかになった。それにより、国立衛生研究所(NIH)では186頭のチンパンジーを同センターに移送することを止め、チンパンジーの実験に対する財政支援も止めた。また、ハーバード大学ニューイングランド国立霊長類研究センターに関する査察報告書は、ワタボウシタマリンが熱湯に近いお湯と皮膚をただれさせる薬品が使われたケージ洗浄機の中で殺されたことや、同様な残虐行為が他にもあったことを明らかにし、施設の閉鎖に繋がった。
- *PCRM: Physicians Committee for Responsible Medicine(責任ある医療の医師委員会)/米国
Victory! USDA Restores Animal Welfare Documents (PCRM)/Good Medicine AUTUMN 2020 | VOL. XXIX, NO. 4