何百頭もの犬猫が血液バンクに死ぬまで隔離収容され血を流す<米国>

©PETA
猫は約30頭が1つのケージに入れられている。食べ物、隠れ場所、トイレなどの状態は、猫の数に対して決して十分とはいえない。

The Veterinarians’Blood Bank (TVBB)は、900頭以上の犬や猫を劣悪な環境で飼育し、その血液を動物病院に販売している。PETA〈*1〉の潜入調査により、そこでは高齢や病気などさまざまな問題を抱えた動物たちの血液も採取されていたことが判明した。

この施設にいる動物たちの多くはここで生まれ育ち、早ければ生後6か月頃から採血が始まり、それが生涯続く。採血から「引退した」動物たちでさえ、死ぬまで施設に閉じ込められるのだ。

TVBBは “クローズド・コロニー〈*2〉” だと主張し、血液製剤を購入しようとする動物病院に安全性を謳っている。しかし、この施設にいる動物たちは、施設で生まれ育った動物たちだけではなく、実際には不特定多数の場所からも多く集められている。例えば、里親が見つからない近所の子犬、動物の里親募集のネット広告から手に入れた猫、従業員たちが持ち込んだ自身の飼い猫などである。施設のマネージャーは、従業員たちが持ち込んだ猫1頭につき200ドルを支払っていた。新入りの猫たちは屋外の小屋で飼われ、猫ヘルペスウイルスやマイコプラズマなどの感染症検査で陽性反応が出ても血液は使われていた。

輸血用血液は、健康で汚染されていないことを求められ、また動物血液バンクのガイドラインでは、血液ドナーになる犬や猫は、8歳前後までとされている。しかしTVBBでは年齢制限を設けていなかった。動物病院で動物がTVBBから購入した輸血を受ける場合、その血液が病気、怪我、高齢、投薬中の動物から採取された可能性が高く、採血される側と輸血される側両方の動物の健康が危険にさらされている。

TVBBでは、約3週間ごとに犬から約15オンス〈*3〉、猫からは約2オンスを採血する。この量は動物病院での血液検査で採取される量に比べてはるかに多い。人間に例えると、2か月に1回程度の献血で提供する1パイント〈*4〉の血液に匹敵する。採血により、人間と同じく犬や猫も疲れや吐き気を感じる。生涯小さな檻に入れられ、3週間ごとに1パイントの血液を採取される生活を想像してみてほしい。

PETAの調査員は、施設にいるコルビーという犬の里親探しについて経営陣に嘆願し、それが認められた。調査員が彼女を獣医師のもとに連れて行くと、尿路感染症と関節炎を、そして施設にいる多くの犬たちと同様に、重度の歯の病気も患っていることがわかり、感染が進行し根元まで侵食されている10本の歯を抜いた。

TVBBは、マース社(Mars Inc.〈*5〉)が所有するブルーパールペット病院(BluePearl Pet Hospital)とVCA動物病院(VCA Animal Hospitals)などの大手動物病院チェーンに血液製剤を販売している。コルビーのような犬や猫のために、PETAはマース社に対し、動物を監禁飼育している血液バンクから血液を入手しない方針への転換を求めている。 家族の一員として家庭で暮らし、飼い主が定期的な献血を申し出ている健康な動物以外の血液を入手しないことを企業に約束してもらい、そして、かかりつけの獣医師にも、同様の働きかけをしていただけるよう、PETAの活動への協力を求めている。


  1. *1 People for the Ethical Treatment of Animals(動物の倫理的扱いを求める人々)/米国に本部を置く動物保護団体>
  2. *25年以上外部からの動物(遺伝子)の移入がなく、特定の集団でのみ維持されている個体群
  3. *31オンス= 29.57ml (米国)
  4. *41パイント=約473ml (米国)
  5. *5菓子やペットフードなどでも有名な米国の大手グローバル企業(2023年には500億ドルもの利益をもたらした)。同社のペットケア部門は、世界中に3,000の動物病院ネットワークを持つ。

VIDEO: How PETA Found a Home for a Hound Exploited by a Blood Bank(PETA)
Video: Hundreds of Cats and Dogs Bled , Warehoused Until Death at Blood Bank Supplying Major Veterinary Chains (PETA)

©PETA
コルビーは2011年3月22日にTVBBで生まれ、12歳の誕生日の直前まで、3週間ごとに採血され、「引退」後も施設に閉じ込められていた。

©PETA
TVBBにいるすべての動物たちと同様に、コルビーの耳には数字のタトゥーが入れられている。また、コルビーは吠えようとしてもかすれた声しか出ない。彼女の首には施設のオーナーが犬を静かにさせるために行っていた残酷な手術による傷が残り、声帯のほとんどが失われていた。

©PETA
PETAの調査員により施設から救出されたコルビーは、すぐに愛する家族の一員としての生活に慣れ、自分の体に合ったベッドで寝たり、散歩をしたり、新しくできた犬や猫の仲間と仲良く暮らしている。
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