2022年のEU動物実験統計:930万以上の動物が死亡<ドイツ>
欧州委員会が最近(2024年7月19日)公開したEU内の動物実験統計によると、2022年には930万頭以上の動物が実験に苦しみ命を落とした。ドイツは170万頭以上の動物を実験に供し、全体の18%以上を占めており、フランスの210万頭に次ぐ不名誉な2位となっている。DAAE*1は、動物実験の数が依然として多いことを批判しており、これは現在の動物実験削減の取り組みが失敗していることを示している。当局に認められた動物を用いない方法でさえ、一貫して使用されているわけではない。
2022年、EUとノルウェーでは8,385,397頭の動物が「初回使用」され、そのうちの92,448頭が「再利用」されたため、直接実験に使用された動物の合計は8,477,845頭となり、そのほとんどが殺処分された。また、遺伝子組換え系統の開発と維持のために862,884頭が使用され、動物実験の数は年々増加している。これにより、EUの統計では合計9,340,729頭の動物が記録されている。しかし、ここには臓器摘出など科学的目的で殺された動物や、実験のために繁殖されたものの「余剰」として使用されずに殺された動物は含まれていないため、実際に実験のために犠牲になった動物の数は統計より大幅に多い。
霊長類の使用数は前年に比べて8.8%増加している。EUの統計では明確ではないが、ほとんどの霊長類は毒性試験に使用され、相当数が侵襲的な脳研究で何年も苦しんでいると推測できる。
DAAEの科学顧問であるJohanna Walter博士は次のように説明する。「特に深刻なのは、『重度』な動物実験の割合がほとんど減少していないことである。2022年には9.2%に達し、784,000頭以上の動物が非常に激しい苦痛に耐えなければならなかった」なお、この重症度は実験者自身が報告するものであるため、過小評価される可能性が高いことに注意する必要がある。この最も重症なカテゴリーの割合は、近年10~11%の範囲で推移している。
2022年には、動物の37%(310万頭)が基礎研究に使用された。基礎研究は、特定の目的を持たないものであり、依然として最も多くの動物が「消費」される原因となっている。次いで35%がトランスレーショナル・リサーチ*2と応用研究(約300万頭)に使用された。
動物を用いない方法が存在するにもかかわらず、抗体生産のために23万頭以上の動物が犠牲となり、2021年と比較して64%も増加したことを示している。特に憂慮すべきは、49,309匹ものマウスが極めて残酷なマウス腹水法に使用されたことで、これは前年比で34%近く増加している。
数字に変動はあるものの、一貫して動物の使用数が多いことを示している。特に衝撃的なのは、すでに当局に認められている動物を用いない方法が存在するにもかかわらず、動物が実験に使用されている点である。「動物実験は動物を用いない方法が利用できない場合にのみ実施するという動物福祉法の原則を、徹底して実施する時が来ている。これは、動物実験の全廃に向けた、賢明かつ容易に実行可能な最初のステップとなるだろう」とWalter博士は結論付けている。
- *1Doctors Against Animal Experiments (動物実験の即時廃止を支持する医師・科学者の団体) /ドイツ(ドイツ語名:Ärzte gegen Tierversuche e.V.)
- *2基礎研究の成果を臨床に橋渡しする一連の研究課程
EU Statistics on animal experimentation 2022 (Ärzte gegen Tierversuche e.V.[Doctors Against Animal Experiments])
※JAVA注:日本には、動物実験数、使用動物数を報告する義務も、動物実験施設の登録の義務もなく、正確な統計データがありません。