服部栄養専門学校でのラットの解剖を阻止、廃止へ
<教育プロジェクト>
あの服部栄養専門学校でラットの解剖
JAVAの指摘を受け入れ、廃止決定!
学校での解剖実習は、以前より減ってきたものの、まだまだ続けている学校があります。テレビでおなじみの服部幸應氏が校長を務める服部栄養専門学校でも、ラットを使った解剖が行われ続けていることが発覚しました。
JAVAは学校に対し強く廃止を働きかけ、当初は曖昧な態度を示していた同学校も最終的に解剖実習の廃止を決定しました。
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昨年11月~12月に学校法人服部学園 服部栄養専門学校の学生さんや保護者の方々より、栄養学科1年生の「解剖生理学実習」の授業の中で、ラットの解剖実習が行われたとの情報が入り、「とても辛かった」「2年生でも解剖をするらしい。もうやりたくない」「自分の子が心を痛めているので、今後、解剖実習を行わないよう学校に働きかけてもらいたい」との訴えが、JAVAに寄せられました。
【JAVAに入った主な情報】
◆約50人のクラスが3クラスあり、1班4~5人で、各班に1匹のラットが割り当てられた。デモンストレーションも行われたので、1クラスにつき計10匹以上が殺された。
◆人体の仕組みを学ぶはずが、解剖の主な目的は「ラットを解剖することによって体の中の様子を観察すること」と説明された。
◆助手の先生が、麻酔をかけたラットを運んで来たが、麻酔は完全にはかかっておらず、ラットは頭や手を動かしていた。
◆実習は、ラットの手足に紐をつけて仰向けに固定し、腹部にハサミをいれて開き、臓器を観察した。さらに、臓器を取り出して、長さや重さを測り記録するという内容だった。
◆ 解剖以外の動物を用いない学習方法はまったく提示されなかった。必修科目であり、皆、単位のことが心配であることから、休んだり、ボイコットしたいと言い出せないでいたが、先生によるデモンストレーションを見て、泣きだした学生や廊下へ出ていった学生もいた。
「解剖」は時代錯誤な授業
動物を使った実験・実習については、「3Rの原則」(Replacement:動物を使用しない実験方法への代替 Reduction:動物使用数の削減 Refinement:実験方法の改良により実験動物の苦痛の軽減)の遵守が国際的な流れとなり、日本でも、「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下、動物愛護法)の6年前の再改正の際、先述の「3Rの原則」が盛り込まれました。さらに、来年実施される法改正に向けて、拘束力が強化されるべく、現在、議論が進められている最中です。
つまり、「3Rの原則」に従わずに代替法を用いることなく、生きたラットの解剖を行っている服部栄養専門学校は、動物愛護法に抵触する行為を行っていると言っても過言ではありません。
欧米では、従来動物実験が必要不可欠と考えられていた大学の獣医学部や医学部においてさえ、「動物を殺す非人道的な教育を拒否する権利」を多くの学生たちが主張し始めた結果、動物実験を廃止して代替法を用いる大学が急増し、実際、北米の獣医学部の60%以上、米国の医学部の90%以上が動物実験をしないで卒業できるようになっています。
解剖の義務はなし 「代替法」で学ばせるべき
生き物の体の仕組みを学ぶ方法には、解剖する以外にも、コンピュータを使用した学習法、ビデオ、3Dの模型など様々あります。そのような代替法を使用すれば、解剖の過程を何回でも繰り返すことができ、また学生一人一人が自分のペースで学習を行うことができるなど、多くのメリットがあるのです。そして、解剖を行った学生と代替法で学んだ学生では、その知識に差はない、もしくは、代替法で学んだ学生の方が優秀であったことが、数多くの研究で証明され、論文が発表されています。
栄養士養成課程のカリキュラムにおいては、JAVAが厚生労働省に問合せたところ、「人体の構造と機能を学ばせるという規定はあっても、その方法は学校が決める。解剖は義務付けられていない」との回答でした。
そもそも、「人体の構造と機能」を学ばせるのに、ヒトとは大きさも構造も異なるラットで学ばせること自体、学生に誤った知識を与えることになります。つまり、学生たちに、きちんと「人体の構造と機能」を学ばせ、知識を身に付けさせたいと真剣に考えるのであれば、代替法を用いるべきなのです。
JAVAの廃止要請に曖昧な回答
命ある動物たちを人間の好奇心を充たすための道具として、まるで機械の構造でも調べるかのように殺し、内臓を見るといった行いは残酷極まりなく、教育の名を借りた一種の犯罪行為と言えます。
このようなことから、JAVAは服部栄養専門学校に対し、
①ラットをはじめ、いかなる動物の解剖実習も今後、決して行わないこと
②動物の命を尊ぶ教育に全力を傾けること
を強く要請しました。
これに対し、同学校は、「実験動物の数を減らしてきている」「事前に、解剖の必要性や命の大切さについて講義をしている。そして、碑を建て線香を焚いて弔っている」といった言い訳に終始し、「次年度に向けて、検討する」に留めた回答で、解剖実習の廃止を決断しなかったのです。
新2年生の解剖準備が始められる4月、新年度に入り、新2年生となった学生たちに「生化学実験書」(発行 服部栄養料理研究会)が配布され、ラットの実験が掲載されていました。異なる飼料を与え、その後、ラットから採血したり、解剖して、取り出した臓器の重さや長さを測ったりするというもので、近々、その実験が行われるとの情報が入ったのです。
JAVAでは、その実験を阻止すべく、学校に再度、強く抗議し、服部校長と担当教官との直接面談を申し入れしました。
やっと「廃止」を決断
後日、学校からは「解剖実習は行わない」と簡単な回答がありました。ただ、今後二度と行わないのか、それとも、一時的な中止なのか、また解剖以外の動物実験についてはどうなのか不明であったため、公開質問状にて確認を行いました。そして、代理人を務める弁護士より、次のとおり、やっと、「全面廃止」の回答を出してきたのです。(一部抜粋)
服部学園は動物愛護の精神に則り、貴会の見解を尊重して解剖実習をはじめ動物を使った実験、実習は全て廃止しました。
その後、実際に授業では解剖は行われず、ラットについての話もなかったとの報告が学生さんたちからありました。
全国には数多くの栄養専門学校がありますが、服部栄養専門学校は、その中でも名が知れているため、いまだ解剖を続けている学校への良い影響が期待されます。教育現場における動物を犠牲にする授業がなくなるまで、JAVAの「教育プロジェクト」を推し進めなければなりません。
(JAVA NEWS NO.87より)