<スペイン>イノシシの避妊ワクチン
2017年6月20日
<スペイン>イノシシの避妊ワクチン
スペイン・カタルーニャ州が、避妊ワクチンを用いたイノシシの頭数制限計画を試験的に開始した。州内4つの自治体で、2019年までに毎年100頭、合計300頭のイノシシが対象になる。スペインの動物保護団体のADDAが州に要求してきた、銃による虐殺に替わる倫理的な代替案だ。
このワクチンは副作用はなく、哺乳類の生殖機能に働きかける性腺刺激ホルモンに対する抗体をつくる作用を持ち、それによって性本能が減退する。低コストで、2~4年で効果が切れ、その後は生殖能力を回復できる。
今年100頭にこの避妊ワクチンを投与するが、その前に個体識別、生殖機能の状態の評価、データ、生体試料の採取を行う。実行する際、事前に麻酔をかけ、毛布で包んで寒さから保護している。さらにGPSで追跡するため、耳にセンサーを取り付け、最後にワクチンを注射。ワクチンを接種した個体は2019年まで追跡・管理を行い、その結果を見る。期待通りに行けば、イノシシの性本能が減退し、ひいては、増えすぎたイノシシの生殖活動が衰え、食べ物を探して人里に近づくことも減るだろう。
この計画は野生のイノシシでは初めての試みなので結果分析が待たれるが、米国のシカや英国の飼育されているイノシシでは成功している。
ADDA Defiende los Animales N.54 AÑO XXVI
(Asociación Defensa Derechos Animal)