2018年動物愛護法改正に向けて
<速報!>改正動物愛護法が成立しました!
6月12日の参議院本会議にて、「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律案」が可決され、これによって、改正動物愛護法が成立しました。
30日以内に公布され、公布から1年以内に施行となります(ただし、遵守基準の具体化と8週齢規制は2年以内、マイクロチップの義務化は3年以内)。
改正法の法文と現行法の法文との対照表は、衆議院のウェブサイトからご覧いただけます。
今回の改正では、JAVA、アニマルライツセンター、PEACEの3団体が協働でロビー活動を行ってきました。
3団体が強く働きかけてきた実験動物に関する改正が皆無であり、非常に残念であった一方、求めてきた改正が実現したところも多くあります。
詳しいご報告はコチラのページをご覧ください。
請願署名や議員の皆さまへの要望、勉強会や院内集会へのご参加などなど、ご協力を本当にありがとうございました!
↓以下はこの活動をスタートさせた2017年3月からの記事になります↓
すべての動物たちを守れる法律に!
動物愛護法改正のための活動スタート
動物愛護法が2018年に改正される予定で、国会議員や環境省が改正に必要な見直し・検討の作業を進めています。JAVAは、動物を虐待や殺害から守ることができる、よりよい動物愛護法にするために、2017年3月、ロビー活動等の取り組みを開始しました。
3団体協同で取り組む
JAVAは「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下、動物愛護法)の最初の改正(1999年)から、毎回、ロビー活動を展開し、JAVAが要望する改正がいくつも実現してきました。
それでもなお多くの課題が残されており、より効果的に取り組んでいかなくてはと考え、これまで化粧品の動物実験やエシカル消費の活動において連携してきた「NPO法人アニマルライツセンター」、「PEACE 命の搾取ではなく尊厳を」と協同で取り組むことにしました。
議員たちへ直接アピール
今改正もこれまでと同様に議員立法で行われる予定で、つまり国会議員への働きかけが最重要と言えます。
今回、いち早く法改正の検討をはじめたのは、超党派の議員で構成された「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」(以下、ゼロ議連)と民進党です。ゼロ議連は、動物愛護法改正プロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、民進党は党の環境・原子力部門会議の中に動物愛護管理法改正ワーキングチーム(WT)を立ち上げて、動物愛護法に関係する分野の人たちからヒアリングをしたり、議員間で議論したりしながら検討を進めています。
私たち3団体は、ゼロ議連に加盟している議員、民進党のWTの議員をはじめ、自民、公明、民進、共産、社民各党の議員や秘書たちに面会をして、直接私たちの要望を訴えるなどの活動を根気よく続けています。ゼロ議連の動物愛護法改正PTと民進党の環境・原子力部門会議、動物愛護管理法改正WTの会合においてヒアリングを受け、私たちが求める改正をプレゼンし、また議員からの質問に答えました。来年の改正まで長期戦になりますが、粘り強く働きかけて参ります。
署名活動を開始
3月8日、衆議院議長・参議院議長宛ての「動物愛護法の改正を求める請願署名」をスタートさせました 。
パネルディスカッションに登壇
3月30日、不幸な犬猫をゼロにする活動を行うTOKYO ZEROキャンペーン主催の動物愛護法改正についてのパネルディスカッションに登壇しました。
「ゼロ議連」の動物愛護法改正PT座長と民進党の動物愛護管理法改正WT座長を務める松野頼久衆議院議員、動物愛護法をはじめ動物関連の法律に詳しい細川敦史弁護士、進行役を務めた著書『犬を殺すのは誰か』で知られる朝日新聞社の太田匡彦記者とともに、第一種動物取扱業への規制をどのようにしていったらよいか、虐待を取り締まりやすくするにはどのような改正をすべきかなどについて意見を交わしました。
またJAVAは、求める主な改正点について説明をしたり、「動物愛護法の改正を求める請願署名」へのご協力もお願いしました。
省庁への申入れ
動物愛護法はこれまでの改正と同様に今回も議員立法で行われる予定ですが、行政側の意見・意向も重視されます。そのため、動物愛護法を所管する環境省には繰り返し私たちの求める改正を要望しています。また、私たちの改正案には、「実験動物を扱う業も第一種動物取扱業の対象にして登録を義務付ける」「3Rの原則の強化」という動物実験、実験動物に関係する改正も含まれていることから、動物実験の実施についての指針を出している文部科学省、農林水産省、厚生労働省の担当課への申し入れも行い、私たちの改正案への理解と協力を求めました。
「動物行政に関するアンケート」調査実施
自治体の動物の取扱いに関する私たちの改正案には、とえば、「所有者不明の犬猫の引取り条項の改正により、駆除目的の猫の引取りをなくす」「収容状況の改善(冷暖房・収容スペースの広さ・運動等)」「殺処分方法の改善(炭酸ガス殺の禁止)」があります。これまでも国会議員の皆さんに自治体の現状を伝え、私たちが求める改正案をアピールしてきました。より理解と賛同を得るために、環境省が発行している「動物愛護管理行政事務提要」ではわからない自治体における動物行政の現状を把握し、それを元にした資料を作成しようと、JAVAはアンケート調査を実施しました。対象は、引取り業務を行っている114の都道府県、指定都市、中核市です。
Evaの「どうぶつ2020プロジェクト」
JAVAのメッセージ動画が公開
女優の杉本彩さんが理事長を務める公益財団法人動物環境・福祉協会Evaが「どうぶつ2020プロジェクト」を9月中旬にスタート。これは、「2020年、日本のどうぶつ環境を世界水準に」をスローガンに掲げ、動物愛護法改正など、動物の福祉と環境の向上を目指すプロジェクトです。プロジェクトのアクションの一つとして、動物愛護団体、議員や著名人からのメッセージ動画が公開されています。JAVAもEvaからの依頼を受けて撮影しました。
動画では、私たちが動物愛護法の改正で特に強く求めている3点「駆除目的の猫の引取りをなくす」、「実験動物を扱う業の登録」「動物実験の3Rの強化」についてアピールしています。
3団体合同で開催
セミナー「動物愛護法をどう改正したらよいか~すべての動物を守れる法律を~」
9月10日、文京シビックセンター (東京都文京区)にて3団体合同でセミナーを開催しました。アニマルライツセンター代表理事の岡田千尋さん、PEACE代表の東さちこさん、JAVAの和崎が登壇し、法改正に向けたこれまでの動きの中間報告、私たちの改正案とその改正を求める理由、そして今後の動きについてお話ししました。質疑応答の場では、時間が足りないほど、会場から多くのご質問やご意見がありました。(私たちの求める改正については、<動物愛護法の改正署名にご協力を!>のページを参照ください)
3月6日 動物愛護法改正 緊急院内集会を開催
専用ページをご覧ください
議連や党からのヒアリングでアピール
法改正の活動では、議員の皆様への陳情を積極的に続けていますが、そのなかで党や議員連盟の会議に呼んでもらい、私たちの求める改正や意見をアピールする機会を得ることがあります。
■超党派
犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟
動物愛護法改正第13回PT
2018年2月5日に開催されたこのプロジェクトチーム(PT)の会議のテーマは「犬猫の引取り・譲渡・殺処分等の現状と課題、収容施設の改善等」。
茨城県動物指導センターの松本徹センター長(当時)と保護猫カフェ「ねこかつ」の梅田達也店長と私たち3団体からのヒアリングが行われました。
私たちからは、「JAVA 動物行政に関するアンケート」調査結果を踏まえて自治体業務の現状を説明し、また次の4つの改正要望がいかに重要かを訴えました。
- 駆除目的の猫の引取りをなくす
- 定点収集の実質禁止=輸送の改善
- 収容状況の改善
- 炭酸ガス殺の禁止
■自民党
自民党どうぶつ愛護議員連盟 第5回マイクロチップPT
3月27日に開催されたこのPTの会議で、JAVAがなぜチップ装着の「義務化」に反対するのか、次の現状や懸念を訴えました。
- チップは万全ではなく、リーダーで読み取れなかったり、情報が登録されていないなどの理由で飼い主が判明しないことも多く、また遺棄するような飼い主はチップを入れないなど、効果に疑問がある。
- 今のシステムでは、繁殖業者から販売店、購入者といった流通経路の追跡はできない。
- もし、すべての飼い犬猫にチップ装着が義務づけされれば、ますます野良猫の駆除が行われるなどの危険性がある。
- 装着費用5,000円程度と登録料1,000円が必要であり、犬猫を保護している多くの動物愛護団体にとって負担が大きく立ちゆかなくなる。
- システム構築や個人情報管理、関係機関への読み取りリーダーの設置等、多額の税金投入が想定されるが、その分を不妊去勢手術の助成金に充てたほうが殺処分減少につながる。
- 多くはないが、チップ装着による犬猫の健康被害の事例がある。
※JAVAのチップ装着の「義務化」反対の見解については、「なぜJAVAが犬猫へのマイクロチップ装着の「義務付け」に反対するのか Q&A 」に詳しく掲載してあります。
■民進党
「動物愛護管理法」改正に関する勉強会
3月29日に開催されたこの勉強会で、法律全般にわたる私たちの求める改正を、実態を伝える数多くの写真やJAVAの行った動物行政アンケートの結果などを盛り込んだ資料を使って、ご説明しました。
(私たちの求める改正については、こちら )
改正動物愛護法の制定まで、引き続き全力で取り組んでまいります。
私たちの要望が「ゼロ議連」の案に盛り込まれる
超党派の国会議員で構成された「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」(以下ゼロ議連)が7月11日に開催した総会にて、このゼロ議連の改正骨子である「取りまとめ案」が了承されました。
私たち3団体はこれまでにこの議連に所属する議員に陳情に回ったり、議連のプロジェクトチームの会議でヒアリングを受けるなどして、求める改正を粘り強くアピールし続けてきました。その結果、取りまとめ案に次のような私たちの要望が多数盛り込まれたのです。
- 動物の福祉の[5つの自由]を盛り込む
- 第一種動物取扱業の規制を強化(両生類取扱業、実験動物の繁殖・販売業、動物輸送業の追加/飼育スペースや環境、繁殖回数、従業員一人当たりの飼養可能頭数等の数値規制/8週齢規制/期限を設けての違反業者への勧告・命令/移動展示販売の禁止など)
- 行政による虐待の恐れのある動物の緊急保護や飼い主への飼育禁止命令
- 特定動物の愛がん目的での飼育禁止
- 自治体における駆除目的の犬猫の引取りを拒否
- 殺処分方法を改善(麻酔薬等の利用により、速やかに最も苦痛のない方法による)
- 繁殖制限を強化(適切飼養できない場合、義務とする)
- 虐待防止・罰則を強化(両生類を愛護動物に追加/殺傷罪の刑の上限を5年の懲役に引き上げ)
- 動物実験の3Rの原則を義務付け
- 畜産動物についての飼養基準策定等の条項を追加
今後の条文化作業や各党における検討で大幅に変更される可能性がありますが、案に盛り込まれたことは第一関門を突破できたと言えるでしょう。
新動物愛護室長に申入れ
7月に環境省動物愛護管理室の室長が交代となりました。8月16日と20日、長田啓新室長に申入れに行きました。動物愛護法の改正は議員立法によってなされるため、国会議員中心で行われるとはいえ、この法律を所管する環境省の意見は大きな影響を与えるからです。計2時間半にわたり、私たちの求める改正について説明し、環境省として賛同・後押ししてくれるよう要望しました。
条文化作業の会議に参加
超党派の国会議員で構成された「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」(以下、ゼロ議連)が、動物愛護法のヒアリングや意見交換の結果を踏まえて作成した「動物愛護法改正に向けた取りまとめ案」を2018年7月に公表したことはすでにお伝えしました。
8月から11月にかけて、ゼロ議連は、この「取りまとめ案」をもとに何をどのように法案に盛り込むかの検討をする条文化作業の会議を同法を所管する環境省や条文作成を行う衆議院法制局を交えて11回行いました。
改正のための活動を協同で行っているJAVA、アニマルライツセンター、PEACEの3団体は、このうち6回に参加し、「虐待の防止」「自治体の収容施設」「罰則の強化」「取消し等の取締りの強化」「第二種動物取扱業」「展示動物」「動物取扱業の適正化」「特定動物」「実験動物」「畜産動物」「マイクロチップ」について、具体的にどのように改正すべきか、またその立法事実は何かを述べ、議論に加わりました。
詳細については、<超党派議連の改正骨子、公表される>、<公表された改正骨子案と私たちの修正要望>のページをご覧ください。
修正を議員、各党・会派に働きかけ
3団体は、骨子案の修正について、2019年2月20日には、公明党の環境部会長・竹谷とし子参議院議員と動物愛護管理推進委員会委員長・中野洋昌衆議院議員に面会の上、私たちの要望を直接伝えました。また同日、立憲民主党 環境・原子力部会からヒアリングを受けました。その後、26日には国民民主党から、27日には自由党からもヒアリングを受け、その他の党や会派への働きかけも進めているところです。