動物実験のこと

動物実験とは?

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©Brian Gunn/IAAPEA

この犬は心理的ストレスを引き起こす実験のために、足を繰り返しハンマーで打ち砕かれました。
麻酔も何の手当てもされていません。
この写真は、動物実験に反対する英国の団体NAVSの当時の代表であったBrian Gunn氏が、1985年に日本の研究施設を視察した際、撮影したもの。
現在でも、日本をはじめ世界各国の研究施設では、数え切れないほど多くの動物たちが、恐怖と苦痛を味わったあげくに、殺されているのです。

動物実験は何のため?

動物実験は、医学研究や新薬開発だけでなく、化粧品、日用品、食品添加物、農薬、工業用品など化学物質の毒性試験や、生理学、栄養学、生物学、心理学などの基礎研究、大学や学校といった教育現場における解剖や手技訓練などの実習、あるいは兵器開発などの軍事まで、私たちが暮らす社会のさまざまな分野で行われています。

マウスやラット、モルモットから、犬や猫、ウサギはもとより、鳥類、魚類、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、さらにはサルやチンパンジーなどの霊長類に至るまで、実験に使われる動物の種類は多岐にわたり、世界で、毎年、推定1億1530万頭以上の動物が実験の犠牲になっていると言われています。※

「医学の進歩のため」「科学の発展のため」といった大義名分のもと、動物に毒を飲ませ、有害物を皮膚に塗り、無理やり病気にさせ、肉体的にも精神的にも痛めつけ、傷つけ、苦しめ、そして殺してしまうのが動物実験です。その残酷な実態は内部告発や潜入調査などで、ほんの一部が表に出ることはあっても、依然として密室の中で行われ続けているのが現状です。

Katy Taylor, Nicky Gordon, Gill Langley and Wendy Higgins,“Estimates for Worldwide Laboratory Animal Use in 2005”, Alternatives to Laboratory Animals,36(3), 327–342,July 2008

©CFI
©HSUS

医学の進歩のため?

©EDEV
リウマチの実験に使われるサル。オランダのモンキーラボ・BPRCにて。

医学研究における動物実験では、人間の病気に似た症状を無理やり動物の体内に作り出し、その動物を人間に見立てて実験を行います。しかしそもそも人間と動物では、体の構造や代謝機能の違いといった「種差」があることに加え、人間の病気は人間特有の生活環境や食生活、遺伝、ストレスなどさまざまな原因が複雑に絡み合っていることなどから、研究施設内で行われた動物実験のデータを人間にそのまま当てはめることはできません。
私たちは長い間、「動物実験は医学の進歩のために必要だ」と思い込まされてきました。しかし、動物実験によって病気が治ると期待された薬や治療法によって、数々の痛ましい薬害が引き起こされています。
昨今、医師や科学者など専門家の間では、「動物実験によって得られたデータが、人間の病気の治療に誤った知識をもたらし、医学の進歩を遅らせている」と主張する声が高まってきており、専門的見地からも動物実験の過ちが指摘されています。

動物実験に反対する医師や科学者などの団体

  • Antidote Europe(科学的根拠をもとに動物実験に反対する研究者の団体:フランス)
  • Doctors Against Animal Experiments Germany(動物実験の即時廃止を支持する医師・科学者の団体:ドイツ)
  • Animal Free Research UK(動物代替センターを運営し、動物を用いない研究への助成機関:英国)
  • Humane Society Veterinary Medical Association(動物の福祉のために活動する獣医学の専門家団体:米国)
  • Physicians Committee for Responsible Medicine(責任ある医療の医師委員会:米国)
  • Pro Anima(動物実験に反対し医学研究の進歩を目指す科学者と医学者の団体:フランス)

安全のため?

©Brian Gunn/IAAPEA
急性毒性試験で苦しむ犬。自分の血で汚れた床の上で震え、目から血を流している。

私たちが普段使っている化粧品や日用品、食品添加物から、農薬や工業用品に至るまで、さまざまな化学物質の安全性を調べるためにも動物実験が行われてきました。ところが、動物実験によって「安全」とされたにもかかわらず、後に事故が起こり、人体や環境への危険性が明らかになった化学物質が数多くあります。
人間と動物とでは、体の構造や代謝機能などに重要な違い(種差)があり、薬物に対する反応も違います。同じ種類の動物を使った実験でも、実験施設によってデータに何十倍もの開きが出ることもあるのです。

教育のため?

©Brian Gunn/IAAPEA

学校で行われるカエルやネズミなどの解剖実習は、動物の命を「実験材料」「モノ」として扱わせるため、子どもたちが他者の苦痛や命に対する感覚を麻痺させてしまうなど、青少年の人格形成に悪影響を及ぼすと言われています。※1
DVDや模型などを用いたさまざまな代替法には、生きた動物を犠牲にしないうえに、何回でも繰り返せることから、生徒が自分のペースで学べるというメリットもあります。
大学についても、欧米では、「動物実験はやりたくない」と主張する学生が増えた結果、臨床現場での実習を充実させたり、実際の医療行為をバーチャル体験できるシミュレータや精巧な模型を使った方法に切り替える学校が増えてきました。すでに米国とカナダでは、獣医学校の約69%以上(32校中22校)が動物を犠牲にする実験・実習をしないで卒業できるようになっており、医学校の約100%(211校中211校)には生きた動物を用いるカリキュラムがありません。※2 ※3
ところが日本では未だに、中学校から大学に至るまで、解剖実習をはじめ、さまざまな動物実験が何の疑いもなく行われているのです。

  1. ※1Jonathan Balcombe, THE USE OF Animals IN Higher Education, 2000年
  2. ※2HSVMA / ウェブサイト Comparison Chart of Alternatives Offered at Veterinary Schools
  3. ※3PCRM / ウェブサイト Ethics in Medical Student Training

 動物実験の法規制について

私たちJAVAはいくつかの理由から、「動物実験の廃止を妨げる動物実験の法規制」には強く反対しています。「なぜJAVAが規制に反対するの?」と疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。その理由を、「動物実験の法規制」に反対する理由」ページにQ&A形式で掲載しました。

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