2004年 動物愛護法の改正を求めて
動物愛護法の改正を求めて –PART.1–
犬猫の殺処分をこのままにしてはおけない!
第18条「引き取り」の改正を求めよう
日本では毎日毎日、たくさんの犬猫が行政によって殺されています。その数、年間約60万頭。業務として犬猫を殺処分するのは、都道府県などの担当者ですが、その子たちを実際、死に追いやっているのは、他でもない、その子たちの飼い主です。
飼い主は、「犬が病気だから」「年をとったから」「引っ越すから」など様々な理由をつけて犬猫を保健所に持ち込んだり、あるいは、不妊手術をさせずに「また、生まれちゃった?」と、目も開かないような子猫を何匹も持ち込んだり、中には、「面倒くさいから」と母子一緒に麻袋に詰めてまるでゴミのように平気な顔で持ってくる者もいます。その無責任さ、身勝手さには憤りを感じずにはいられません。
しかし、都道府県の自治体は、飼い主がどれだけ悪質であっても、決して拒むことなく、犬猫を引き取ります。それは、どうしてでしょうか?
それは、動物愛護法の中に、自治体に「引き取り」を義務付ける規定があるからです。
附帯決議となった「引き取り」
第18条の「引き取り」は、動物愛護法に反する内容であるにも関わらず、前回の法改正では一切手はつけられませんでした。救いは、JAVAが超党派の国会議員に強く申し入れを行ったことによって、改正から5年後に再検討がなされる「附帯決議事項」となったことです。
2年後の法改正を控え、今、動物保護団体はもちろんのこと、環境省や政党の間でも「附帯決議事項」の検討の動きが出始めています。ところが残念なことに、第18条の引き取りの問題はあまりクローズアップされず、どの動物保護団体の改正案にも組み込まれていないのです。
JAVAでは、本当に動物たちのためになる法律の制定を求めて、第18条の「引き取り」の改正を強く訴えています。(JAVAの提案は下記のようなものです)
第18条【犬ねこの引き取り】
「都道府県又は指定都市、中核市、その他政令で定める市若しくは特別区は、犬又はねこの引き取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。」
↓ ↓ ↓
【JAVAの提案】 –せめてこのように改正してほしい–
「都道府県又は指定都市、中核市、その他政令で定める市若しくは特別区は、やむを得ない理由により犬又はねこの引き取りをその所有者から求められたときは、これを引き取ることができる。都道府県等では、引き取った犬又はねこに生存の機会を与えるよう努めなければならない。」
殺処分中心の業務にピリオド
本来なら引き取りという規定自体を削除すべきです。しかし、第18条が、もし、JAVAの提案のように改正されたなら、行政の殺処分中心の引き取りを根本的に見直すことができるようになるのは確実です。
例えば、今までは、どれだけひどい飼い主であっても、行政は、黙って、犬猫を引き取らなければなりませんでしたが、今後は強い指導ができ、場合によっては、引き取りを拒否することもできるようになります。逆に、引き取りを拒否して飼い主のもとに返してしまったら、犬猫が虐待されたりしてかえって不幸になると判断した時には、そのまま引き取って里親を探すこともできるようになるのです。行政のやる気、その姿勢次第では、一般譲渡システムを拡大させたり不妊去勢手術の普及に全力をあげることができ、その結果、多くの動物の命が救われることになります。それによって、国民の動物愛護意識は間違いなく向上し、そうすれば、いずれ近い将来、犬猫の殺処分数がゼロになることも不可能ではなくなります。
改正には国民の強い声が必要
今、動物愛護法の改正を求める活動をたくさんの動物保護団体が行っていますが、第18条の「引き取り」については、現在のところJAVA以外に取り組んでいる団体はありません。「引き取り」はとても重要な問題ですので、ぜひとも、第18条の改正にご賛同いただき、多くの人にこの問題に取り組んでいただきと思います。
動物愛護法を改正するには、国民の強い声が必要です。新聞の投稿欄やインターネットの動物愛護サイトに投稿したり、地元選出の議員にお願いの手紙やメールを出すなどして、第18条「引き取り」の改正を求める声を広げていきましょう。