3月22日&28日 動物愛護部会 傍聴報告
9月1日の改正動物愛護法施行までに、関係する基準や指針といった政省令の見直しが、動物愛護部会においてなされています。部会は公開で行われるため、ほぼ毎回、JAVAでは傍聴し、環境省への要望などに活かしています。
3月は22日と28日に開催されました。
この2回の議題は「基本指針」の見直しに関わる関係者からのヒアリングで、地方自治体、ペット業界、愛護団体、動物実験関係者、獣医師会などから現状説明があり、それについて部会委員との質疑応答がなされました。
JAVAも取り組んでいますが、全国に知れ渡った「みどり町」での駆除目的での猫捕獲。「みどり町」で捕獲された猫たちを引取り・殺処分していた問題の三重県からも今回、ヒアリングが行われました。
当日の配布資料や議事録は、環境省の以下のページに後日、掲載されます。
1日につき2時間半、5時間に及ぶヒアリングなので、詳細は議事録をご覧いただくとしまして、興味深かったのが、次の趣旨の発言でした。
- 警察との連携については司法との認識の差ある。犬猫が置き去りにされていても元気だと警察が遺棄と判断しないこともある。国レベルでの認識のすり合わせが必要。(全国動物管理関係事業所協議会 会長 新井英人氏)
- マイクロチップについては、登録情報の更新は不可欠。情報が古くて飼い主にたどり着けないことも多い。迷子や遺棄防止に十分役立っていない。(同上)
- 実験動物、産業動物については農水省、文科省、厚労省がやるべき。(同上)
- なぜ三重県が呼ばれたのか、と思った。こういう場に呼ばれたのは初めて。全国の自治体代表ではなく三重県の話をさせてほしい。(三重県健康福祉部食品安全課 課長 西中隆道氏)
- 引取りについては一頭でも減らしたいと思っている。犬の処分数は800頭を目指していたが500頭になりそう。(同上)
- (委員からの「地域猫活動の三重のケースを教えて」という質問に対して)三重県では進んでいない。県としてはやっていない。住民の理解を得ているところもない。個人的な活動はわからない。(同上)
- (三重県の回答に対して)長野県では予算をつけ、100か所で100頭管理して効果が出ている。(部会委員:長野県動物愛護センター 所長 齊藤富士雄氏)
- ペット協会は移動販売は廃止すべきと考えている。(全国ペット協会 専務理事 脇田亮治氏)
- マイクロチップについては、チップは入っていても登録されていないケースがあり、数万件に及ぶと考えている。チップの意味がなくなってしまう。(同上)
- 今の自主管理を基本に適正化を図っていく。実験動物の適正な取扱いにかかる基本指針の見直しは不要と考える。(実験動物中央研究所 理事 鍵山直子氏)
マイクロチップについては、JAVAは「遺棄するような飼い主はそもそもチップをいれないので遺棄防止の効果は疑わしい」「チップのない野良猫などが、“飼い主がいない”として、今より駆除や殺処分されかねない」などの懸念があるため、マイクロチップの義務付けに反対しています。今回、チップは入っていても情報が登録されていないケースが数万件に及ぶという別の問題指摘もなされました。
また、三重県はいまだに、捕獲された猫を引取り殺処分しています。環境省はそんな三重県から猫の実態を聞き取るために三重県を異例に招集したと思われます。それに対して、三重県は「なぜ呼ばれたのか、わからない」といったうそぶいた発言をし、委員から質問されるまで猫について処分数や譲渡について一切発言しないなど、猫に関することは終始一貫して避けているように感じました。
こういった三重県の態度から、三重県は駆除目的で捕獲された猫の引取り・殺処分をこれからも止めるつもりはなく、反省と改善の意思すらないことがわかりました。
三重県に関しては、今後さらに厳しい対応が必要になると考えています。
そして、実験動物中央研究所の鍵山直子理事の「実験動物の適正な取扱いにかかる基本指針の見直しは不要」という意見は、つまり現状で問題はないから、改善も必要ないということであり、動物実験者側の低い認識に改めて呆れさせられました。
次回の部会は4月17日(水)です。