市立船橋高校で、小・中学生向け解剖講座
生命を尊ぶ態度を学ぶ!?
市立船橋高校で、小・中学生向け解剖講座
夏休みには子ども向けのさまざまなイベントが開催されますが、千葉県船橋市立船橋高等学校では、小・中学生を対象にした生き物の解剖講座が行われ続けています。
動物を使った講座だらけ
2015年7月上旬、船橋市立船橋高等学校(以下、船橋高校)のウェブサイトや「広報ふなばし(7月1日号)」に、同校が7月29日~8月1日に開催を予定している下表の公開講座の案内が掲載されていることが、船橋市民の方々の通報で発覚しました。講座の内容は、魚、節足動物、イカ、ブタの臓器を使った解剖に、ミジンコ、ウミホタル、ダンゴムシを使った実習など、生き物を使ったものがほとんどです。
開催日 |
対象 |
内容 |
7/29 |
小学1~3年生 |
顕微鏡でミクロの世界を探検しよう |
小学4~6年生 |
ミジンコやウミホタルを観察しよう | |
7/30 |
小学1~3年生 |
魚のからだをしらべよう |
小学1~3年生 |
葉脈標本をつくろう | |
7/31 |
小学1~3年生 |
ダンゴムシのひみつ |
小学4~6年生 |
節足動物のからだのつくり | |
8/1 |
中学1~3年生 |
魚になりたかった軟体動物~イカの解剖と寄生虫~ |
中学1~3年生 |
ブタの解剖と脳の観察~眼や耳の微細構造~ |
船橋高校では、これまで毎年のように同様の講座を開催しており、同校のウェブサイトには、4年前は節足動物のエビを解剖したことの報告が、3年前と一昨年は魚やイカの体を切り開く小・中学生の写真が掲載されています。
船橋高校は、「死体や臓器なら、殺すわけではないので実習に利用しても問題ない」などと考えているのでしょう。たしかに死体・臓器の利用であれば、その動物に痛み、苦しみ、恐怖を味わわせるといった問題はありません。しかしJAVAは、死体であっても、動物の体を切り刻む「解剖」という残虐行為には、子どもたちの心に悪影響を及ぼす等、多くの重大な問題点があると考えています(JAVAが主張する解剖実習を廃止すべき理由参照)。
船橋高校、聞く耳なし
JAVAはすぐさま船橋高校と、この学校を運営する船橋市に対して、解剖実習の問題点を指摘した上で動物を用いた公開講座の中止を強く要請しました。
しかし、船橋市教育委員会と船橋高校の連名で届いた回答は、「本講座は例年たいへん好評」と自画自賛し、JAVAの問題指摘に耳を傾ける姿勢すらなく、今後も解剖講座を続けるとしています。
- 実習に際しては、動物愛護や生命尊重の理念は当然のごとく強く受講生に訴えるものであり、生命軽視や好奇心を満たす道具に供するという指摘はまったく当たらない。
- 解剖実習が犯罪の契機になるという指摘は、動物愛護・生命尊重の精神を正しく学習した場合には考えにくく、本講座においてはまったく当たらない。
これは、動物愛護や生命尊重を正しく教えなければ、解剖は子どもに悪影響があると教育委員会と学校が認めていると読み取れます。しかし、仮に実習前に動物愛護や生命尊重など正当なことを児童生徒に教えたとしても、生き物を切り刻む解剖実習を行ってしまえば、それらはすべて打ち消されてしまうことになります。なぜなら、解剖実習は動物愛護とは正反対のものであるからです。
- 用意される教材はすべて市場で購入できる商品であり、食用として流通しているもの。食育にも直結する本講座の内容は、まさに生命を尊ぶ態度を学ぶことを主眼として展開するもの。
内閣府の「第2次食育推進基本計画」には「基本的な取組方針」として、「『もったいない』という精神で、食事ができることに感謝の念を持つことは、食育の極めて大切な要素である。(略)動植物の命を尊ぶ機会となるような様々な体験活動や適切な情報発信等を通して、自然に感謝の念や理解が深まっていくよう配慮した施策を講じる。」と記されています。食用として売られていた魚、イカなどを解剖に用いることは、食べ物を無駄にし、粗末に扱うことになります。
そして、解剖は「生命を尊ぶ態度を学ぶ」ことになるのでしょうか。もしそうならば、保健所で殺処分された犬猫の死体を解剖させるなどすれば、生命を尊ぶ態度を学べることになってしまいます。しかし、そのようなことは決して許されることではないのです。
本当に生命を尊ぶ態度を学ばせる講座にするなら、フィールド観察にて野生動物たちがたくましく、懸命に生きる姿を見せたり、犬猫等の動物の保護施設にて世話の体験をさせるなど、方法はいろいろあります。それなのに、なぜ解剖なのか、船橋高校の命に対する感覚を疑います。
「動物は使わない公開講座を!」の声を
高校の公開講座という機会を設け、地元の小・中学生や地域の住民が学んだり、交流を持つことは意義があることだと思います。しかし、そこにどのような講座を設定するかは講座を開催する学校側がもっと神経を使う必要があり、判断を間違えば「その講座は子どもたちに悪影響を与えかねない」という世間のそしりは免れません。船橋高校でこれまで行われた公開講座の中には、読み聞かせや、体力テスト、パソコン講習などもあります。動物を用いなくても公開講座はできるのです。「動物を使った公開講座は必要ない」、「次回からは、動物を使った講座は行わないように」と皆さんからも声を届けてください。
校長:赤熊一英
〒273-0001千葉県船橋市市場4-5-1
TEL:047-422-5516 FAX:047-422-9129
<船橋市長 松戸徹>
〒273-8501 千葉県船橋市湊町2-10-25
TEL:047-436-2784(市民の声を聞く課)FAX:047-436-2789(同課)
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