明法中学・高等学校、ブタの心臓を使った講座を廃止!
明法中学・高等学校、ブタの心臓を使った講座を廃止!
東京都東村山市にある私立明法中学・高等学校では、同校の卒業生である心臓外科医の指導のもと、毎年、中学2年生に対してブタの心臓を使った心臓手術体験講座を実施していました。
この学校のホームページでは、「哺乳類の心臓を解剖します。最終的に人工血管や人工弁の縫合まで行います。中学生対象の心臓外科医による医学講座は全国でも実施例のない貴重な実験です。」と宣伝をしていました。
2月、この講座が新聞で取り上げられたことから、記事を見た方々より、「子どもたちがやるべき実習ではない。やめさせてほしい」といった声がJAVAに届きました。
死体の解剖にも問題がある
「死体・臓器の利用」であれば、その動物に痛み、苦しみ、恐怖を味わわせるといった問題はありませんが、その動物たちは寿命をまっとうしたのではなく、人間によって殺されたことをまず考えなければならないでしょう。死体を解剖するということは、その前段階において、その生き物を殺す行為(今回の場合はおそらく食用のためにと畜された)が必ず必要になるわけです。中学生のような多感な時期の子どもが、学校で行われる死体を使う講座に参加したら、「食べているものなんだから、感謝すれば何をしてもよい」「動物の体を解剖するのはよいこと」という誤った認識を持ちかねません。そういう認識を持ってしまったら、子どもたちは弱い立場の動物を慈しむ気持ちに蓋をするようになり、殺すことや切り刻むことに無感覚になることが懸念されます。そして、「自分でカエルや魚を捕まえて解剖してみよう」「車に轢かれた猫の死体を解剖してみよう」と考える子どもが出てくる可能性もあり、今後、どのようにエスカレートするか計り知れません。
海外では動物を用いない教育が進む
欧米では、従来動物実験が必要不可欠と考えられていた大学の獣医学部や医学部においてさえ、「動物を殺す非人道的な教育を拒否する権利」を多くの学生たちが主張し始めた結果、動物実験を廃止して代替法を用いる学校が急増し、実際、アメリカとカナダにある医学校の100%以上(197校中197校)では、動物を犠牲にするカリキュラムがありません。
また、ドイツ、イタリア、ベルギー、デンマーク、フランス、イギリス、オランダ、スイスなどでは、初等中等教育における生体解剖を禁止する等の規制を設けているほどです。
生き物の体の仕組みや医療技術を学ぶ方法には、生体や死体を使用する以外にも、コンピューターシミュレーションを使用した学習システム、ビデオ、精巧な3D模型など様々な代替法があります。これらを使えば、一人一人が自分のペースで何回でも繰り返し学習することができるという大きなメリットがあります。欧米では医学生だけでなく医師の手技練習にもコンピューターシミュレーションが活用されています。この学校のホームページには「実験器具は本校のコンセプト『本物に触れる教育』にそって、すべて本物を使用します」とありましたが、それなら本物の実験器具を用いて、医師が使う手技練習用のキットを利用して縫合等の体験をするという方法も考えられます。
解剖は「他者を思いやる心を育てる教育」に反する
日本でも、動物虐待と青少年による凶悪犯罪の深い関連性が指摘さています。また、教育の名のもとで生き物を殺したり、その死体を粗末に扱うことが青少年の精神面にいかに大きなダメージと悪影響を与えるかが明らかになってきた昨今、学校での解剖実習に対しても批判は高まってきています。
学校で深刻な問題となっている「イジメ」を解決するためにも、他者を思いやる心を育てることは急務です。動物の体を切り刻むことは、それとは真逆の行為であり、それにより道徳心が育つということはありません。
教育において「観察する」「しくみを調べる」「体験する」ことの大切さを否定するつもりはありませんが、それは痛みを伴わない方法であるのは勿論のこと、生命の尊厳を踏みにじることのない方法でのみ許される行為です。命ある動物たち、命あった動物の死体を、人間の好奇心を充たすための道具として利用するといった行いは残酷極まりありません。
学校は「廃止」を決定!
このような理由から、JAVAは明法中学・高等学校に対して、動物(生体、死体・臓器を問わず)の使用をやめるよう働きかけました。後日、「JAVAの要望を踏まえて検討した」として、「(同校卒業生の心臓外科医による)特別医学講座では、ブタの心臓をはじめ、動物(生体、死体・臓器を問わず)を用いない」との回答があったのです!