<米国>農務省研究所での動物虐待が明らかに

2018年7月24日

米国の各研究機関に設置される動物実験委員会(IACUC)は、実験に際して動物福祉法の遵守がなされているか監視と報告を行う機関だが、米国農務省農業研究局(ARS)のIACUCが虚偽の報告をしていたことが明らかになった。
発端は、米国食肉動物研究センター(MARC)で日常的な虐待が発覚したからである。その後、動植物検疫所(APHIS)による調査で、MARCだけではなく複数の農務省の研究施設において動物福祉法が守られていない実態が明かになった。
APHISの報告によると、ミシガン州イーストランシングの鳥類疾患および腫瘍学研究所(Avian Disease and Oncology Laboratory)において、水を一切与えられなかった15羽のアヒルが脱水により死亡。ユタ州ローガンの有毒植物研究所(Poisonous Plant Research Laboratory)では、摂氏45度の部屋で、暑さと痛みと苦しみの末に死んだと思われるウズラのヒナ32羽を発見。モンタナ州マイルシティの牛の研究施設であるFort Keogでは、脱水により衰弱した子牛が死亡。アイオワ州エイムズ国立動物疾病センター(National Animal Disease Center)では、不適切な低温に設定された鶏舎で七面鳥のヒナが、栄養不良から脱水および疲労により死亡。これらいずれの研究施設のIACUCにおいても、動物の死亡が記録されておらず、管理に問題はなかったと明らかに虚偽の報告がされていた。
APHISは農務省の研究施設の査察を行うが、法的な執行権を持っていない。また、農業研究用の動物は、動物福祉法の最低限の保護対象から外されている。このような大きな抜け穴や、実際の監視が不十分であることを鑑みて、米国の動物保護団体AWIは、中身のある法の執行と適切な是正処置を可能にするよう、動物福祉法の改正がされるべきだと強く主張している。

AWI Quarterly Winter 2017/Volume66/Number4
https://awionline.org/awi-quarterly/winter-2017/awi-exposes-whitewashing-animal-abuse-usda-research-labs

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