書籍「犬が殺される―動物実験の闇を探る」

2019年5月30日

本の紹介

犬が殺される―動物実験の闇を探る[同時代社]

森映子(時事通信文化特信部記者)著
定価1,600円+税

第1章 獣医大学の実習
第2章 国が把握しない実験施設
第3章 手術後の動物を看護
第4章 痛みは軽減されているのか
第5章 犬の一年農薬毒性試験が廃止
第6章 進化する代替法
第7章 倫理面で問題「ヒト動物キメラ研究」
第8章 抗う業界と議員

動物実験の手技の教本は数あれど、動物実験や実験動物の福祉の現状を伝え、その問題を問う本は本当に少ない。著者は6年にわたり獣医大学をはじめとした大学、製薬企業などへの取材を続け、多くの動物実験関係者からの証言を得てきた。記者だからこそ得られた貴重な証言も多い。JAVAが取り組んだ酪農学園大学や北里大学における牛の無麻酔放血殺の件や、JAVAを含む3つの団体で構成される「美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会(CFB)」による化粧品メーカー・ピアスグループへの働きかけについても紹介されている。日本の動物実験の実態やシステムについてよくまとめられた勉強になる1冊である。

TOP