<英国>イヌの実験、反対世論を横目に16%増加
2019年7月18日、英国内務省は2018年に国内で実施された動物実験数に関する統計を発表した。実験件数は、2017年の370万件から350万件強へと減少している。CFI*は、この減少を喜ばしいとしながらも、英国政府は、動物実験に対する国民の考え方が変化している事実を受け止め、動物実験に代わる手段を探求する努力を重ねるべきだと考えている。5月に発表された市場調査会社イプソス・モリの調査によれば、英国民の2/3(66%)が実験動物の現状を憂慮している。
今回発表された統計で、英国におけるイヌを使った実験が前年(2017年)比16%、サルでは8%増えていることが明らかになった。国民の86%がイヌを使った実験に反対し、サルを使った実験にも同様に86%が反対していることを考えると、実験が人間に有益であったとしても、この増加は驚きに値する。
国民の大半が、国内の動物実験数に強い関心を寄せている。動物実験は残酷であるばかりではなく、無益であることがますます明らかになっている。政府は、国民の声を聞き入れ、動物実験数を減らし、人道的で有効な代替法に置き換える努力をこれまで以上に徹底すべきだ。
CFIの科学・規制担当部長ケイティ・テイラー博士は、次のように語る。「犬好きな国英国でも、毎年、何千件というイヌの実験が行なわれている。イヌの実験が人間に役立っているとする科学的証拠はほとんどないのにも拘わらず。最近の調査で世論が動物実験の終焉を望んでいることが明らかになった以上、この実験数が増加したショッキングな事実を正当化することはできない。英国は率先してこうした実験を減らすべきである。もっと人道的で信頼性の高い、動物を使わない代替法へ移行し、実験室のイヌや他の動物を苦しみから救う支援を強化するよう政府に要請していく。」
内務省統計2018年版の主な数値は以下のとおり。
2018年、352万件の実験が完結。そのうち約170万件(49%)が遺伝子操作された動物の「創造」と飼育に関連するもので、これらの動物はそれ以上実験に使用されなかったが、残りの180万件(51%)は利用された。
2018年に完結した352万件の実験のうち、動物に苦痛を与えたケースは、中程度から激しいものまでを含め、18%(643,142件)もあった。
イヌを使って完結した実験は、前年比で16%増(3,847件に対し2018年は4,481件)、サルの実験は8%増(2,960件に対し3,207件)、ウサギは8%増(10,362件に対し11,159件)。
※CFI :Cruelty Free International/動物実験の廃止を目指す英国の動物保護団体
Cruelty Free International ウェブサイト
UK dog experiments up by 16% despite public opposition