Good News! 不二製油グループ、食品事業における動物実験を全廃!

大豆製品や製菓材料を中心とした食品素材メーカー、不二製油グループ(本社:大阪市)が、2019年8月21日、食品事業における動物実験を全面的に廃止したことを、当会JAVAに対して明らかにしました。日清食品グループに続いて、動物実験を廃止した食品メーカーがまた一つ、誕生しました!

不二製油グループが公開した動物実験方針

https://www.fujioilholdings.com/research/network/index.html

「動物福祉ポリシー
当社グループはフードビジネスにおいて、動物実験の実施、資金援助ならびに委託研究は行わない方針です。但し、国/行政機関からの要請や法規制等により動物実験を求められ、且つ代替試験法がない場合を除きます」

不二製油グループ本社株式会社(以下、不二製油グループといいます。)は今年8月初旬に上記「動物福祉ポリシー」をウェブサイト上で公表しました。JAVAではその決断の背景や、例外の有無、代替法の研究・利用状況等、文字として表れていない部分を直接確認すべく面会を申し入れ、8月21日にJAVAから理事2名と事務局長が同社の東京支社を訪問し、約1時間にわたって意見交換を行いました。執行役員/未来創造研究所長、広報グループリーダー/シニアマネージャー、ESG経営グループリスクマネジメントチームリーダー/シニアマネージャー、広報グループ広報チームリーダーの4名にご対応いただきました。

2018年9月にトータルで廃止!

同社は、今年4月にJAVAに対して動物実験の廃止を明らかにした日清食品グループ同様、昨年、米国の動物保護団体PETAから「法律で義務付けられていない範囲の動物実験廃止」との要請を受けそれに同意したとされる13社のうちの一社ですが、その要請を受けて2018年9月より、動物実験の実施、動物実験への資金提供、動物実験の外部委託をトータルで廃止したとのこと!
食品業界において、「機能性食品」のカテゴリーが花盛りのいま、食品素材や成分の効能や効果を謳うために、さまざまな実験が行われていますが、ヒト試験にたどり着く前の、効能があるかもしれないと考えられる素材や成分のスクリーニング(選定、ふるい分け、絞り込み)のために、多数の動物実験が行われており、多くの食品会社が、この部分の動物実験をなかなか手放せずにいるのが現状です。
たとえば、大豆のある成分が、肥満のラットにどのような影響を及ぼすか、マウスの脳内物質の合成を増やすか、といったようないわゆる基礎研究も含まれますが、不二製油グループでは、この難しい部分についてもきっぱりと動物実験の廃止を決断しました。
代替法研究については、「広げていかないといけないと意識はしている」が現状ではまだ情報収集の段階で、十分な状況とは言えないとのこと。今後、日本動物実験代替法学会などの学会や企業間コンソーシアムへの参画を検討していきたいということです。

気になる例外条項は

ポリシーの「但し」以降の部分ですが、機能性を謳うなど新規の食品素材に対して、日本では基本的にヒト試験のデータが国から求められる一方、EUや米国ではいまなお動物実験のデータが要求されるため、欧米にも市場を持つ同社はこれを例外としたとのこと。他国の法規制との関係については、輸入化粧品に動物実験を課している中国の問題と通底しますが、JAVAでは、まず国内での動物実験の廃止に踏み切ったことを積極的に評価していきたいと考えています。
また、ポリシーでは「フードビジネス(※食品事業)において」と限定した表記であり、その他の事業ではどうなっているかを確認したところ、会社の事業はほぼすべてがフードビジネスであり、動物実験に関連があると思われる飼料製造や医薬品製造も事業目的として登記しているが、現時点ではそれらの事業は行っていないということです。

不二製油グループへエールを!

不二製油グループは企業向けのビジネスを展開するいわゆるB to B企業ですが、50年以上前から大豆製品を取り扱い、「人口増加による食糧問題や地球環境問題解決を目的として、大豆やエンドウなど植物からタンパク質をつくる方法を長年研究してきた。最近ではミレ二アル世代向けに健康を意識した製品開発を行っている」とのこと。「特にヴィーガン向けというわけではない」としながらも、動物性成分を含まない大豆由来のチーズや肉を使わない「ソイカツ」など、エンドユーザーであるヴィーガンやベジタリアンの注目に値する商品を次々に開発しています。企業活動を通じて地球環境問題だけでなく、動物実験を廃止し動物福祉向上にも寄与する姿勢はうれしいですね!
ぜひ、不二製油グループに対して、この方針を支持するメッセージを送ってください。

不二製油グループへの意見送付先
メールフォーム
(上記ページにアクセスし、右上のメールのアイコンをクリックしてください)

※傘下の財団法人について
なお、1979年に不二製油の支援によって「大豆たんぱく質栄養研究会」として設立され、1997年に財団法人に、2012年に公益財団法人となった「不二たん白質研究振興財団」は、不二製油グループから独立した組織であるため、同社が同財団の方針に関与できず、よって本ポリシーの適用除外となるとのことです。将来的には同財団で助成する研究についても「動物実験を行わない」という条件が採用されることを期待したいと思います。

※同社のウェブサイトには、動物実験を含む研究論文が掲載されていますが、すべて動物実験廃止をした2018年9月以前に行ったものであり、今後は行わないという方針を確認しています。

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