軍人が、ポーツマス海軍医療センターの動物を使った医療訓練の廃止を訴える <米国>
2021年10月26日
19人の現役および引退した軍の医師と看護師のグループが、ポーツマス海軍医療センター(以下「NMCP」という)に対し、医師の研修プログラムで生きた動物を使用しないよう求めている。2020年の退役軍人の日*1に、海軍、陸軍、空軍の退役軍人たちは、NMCPの指揮官であるLisa Mulligan少佐(医学博士)に書簡を送付し、救急医療の研修プログラムにおいてヒトベースの教育方法のみを用いることを要請した。この書簡では、動物に代わる方法を支持する声が確実に増えていることを強く訴え、軍が実施した研究と成果*2について説明している。さらにPCRM*3は、この書簡と連動して、ポーツマス市内の2か所に看板(下記 )を設置した。
現在、NMCPでは生きたブタを使って救急医療研修を行っているが、米国とカナダで調査した救急医療研修施設の97%は生きたブタを使っていない。これは277のプログラムで生きた動物を使用していないということであり、そこにはサンディエゴ海軍医療センターも含まれている。ヒトとブタでは、胴体や手足の大きさなどが異なり、皮膚もブタの方が厚い。また、頭や首、内臓、胸郭、血管、気道などの解剖学的構造も大きく異なる。動物の代わりとして、ヒトベースの医療シミュレーターや人間の遺体が広く使われている。シミュレーターはヒトの解剖学的・生理学的特徴を正確に再現しており、本物そっくりの皮膚、脂肪、筋肉も持ち合わせているのだ。
- *1 11月11日
- *2動物を使用せずに人体を模倣したシミュレーターで行われた研究について述べられている。いずれも動物を使用する必要がないことが示された。
- *3Physicians Committee for Responsible Medicine(責任ある医療のための医師委員会)/米国