日本最大級 エキゾチックアニマル展示即売会視察レポート 2021冬
「動物たちの展示方法が悪い」といった悪評が絶えず問題視され続けている「東京レプタイルズワールド」。日本最大級のエキゾチックアニマル展示即売会で、世界各地から輸入された爬虫類や猛禽類をはじめとしたエキゾチックアニマル約10,000匹が展示・販売されています。2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響から開催が中止になったものの、2021年は例年通り春と冬に2度開催されました。先日12月4日(土)・5日(日)の2日間にわたり、東京・池袋サンシャインシティで行われた「東京レプタイルズワールド2021冬」を視察してきましたので、その様子をご報告します。
同展示即売会については、2017年と2019年にも記事で取り上げ、『透明の食品用ケースに昆虫やカエルやトカゲやヘビなどを入れる』『体の向きを変えることもできない狭い水槽にカメを入れる』『フクロウやワシなどの猛禽類をリーシュに繋いで拘束する』『ほとんどのケージやケースにおいて、動物たちが隠れて安心できるスペースが用意されていない』等の劣悪な展示方法についてお伝えしました。
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残念なことに、今回の「レプタイルズワールド2021冬」においても、上記のような展示方法が改善されることはなく、それどころか悪化さえしている悲惨な状況でした。
大勢の来場者で賑わう会場の中で、特に人が集まっているブースを見つけ覗いてみると、そこにはケージに入れられた小さなフサオマキザルが、ケージの隙間から右手を外に伸ばして来場者の指をぎゅっと強く握りながら鳴いている姿がありました。
いつまでも指を握って離さないフサオマキザルに困惑した様子の来場者は何とかサルの手を剥がしてその場から立ち去ってしまいました。すると、ケージの中に残されたフサオマキザルは自分の小さな親指を咥えながら、その後、しきりに鳴いていました。
フサオマキザルのように本来なら森林の樹上で群れの仲間と過ごしているはずの動物が、人間の勝手な都合によって不自然で孤独な環境下に置かれ、長時間にわたり過酷な展示を強いられるのですから、当然ながら心身への大きな負担を受けます。
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そのほかにも、ケージの隅で身を寄せ合うミミズクや狭いケースの壁や底をひっかき続けるトカゲたち、何度も羽を広げて移動を試みてはリーシュに阻まれてその場から動くことができず、ただじっと耐えることしかできないワシなど、会場の至るところに、動物たちの哀れな姿がありました。
このように動物たちにとって悲惨な状況であるにもかかわらず、『命』の売り買いで盛り上がっている出店者や来場者たちの様子を目の当たりにし、憤りを感じると同時に改めて日本の動物福祉の遅れを痛感しました。
劣悪な展示を続ける業者を改善させるためには、動物愛護法に基づく更に厳しい飼養管理基準等をつくり、動物福祉を向上させることが重要です。
ところが、飼養管理基準は、犬猫については厳しくなったものの、犬猫以外の動物については以前からある緩い基準のままなのです。JAVAはこの現状を問題視し、これまでも環境省に対し犬猫以外の動物についてもきちんと飼養管理基準を策定してくれるよう、強く要望してきました。
それにより、2020年9月には環境省から「犬猫以外の動物の基準もつくる」との回答を得ることができました。しかしながらその具体的な議論・検討の開始時期や策定時期は未定とのことなのです。
悲惨な状況で展示販売されている動物たちを苦痛から救うために、JAVAはこれからも引き続き環境省への働きかけを行っていきます。ぜひ皆様からも「1日も早く、犬猫以外の動物の新しい飼養管理基準をつくって」の声を届けてください。
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