1億1千万匹のラットとマウスを米国の研究所で使用 <米国・EU> 

2022年3月1日

Nature.com〈*1〉に発表された研究によると、2017年から2018年にかけて米国の研究所で使用されたラットとマウスは、1億1千万匹以上になると推定されている〈*2〉。これは、AAVS〈*3〉や、関連団体であるAlternatives Research & Development Foundation〈*4〉をはじめとする多くの団体がこれまでに推定していた数をはるかに上回っており、何千万匹ものラットとマウスが痛みを伴う悲惨な実験に使用されていることを示唆している。“Estimating mouse and rat use in American laboratories by extrapolation from Animal Welfare Act-regulated species”〈*5〉というこの論文は、研究と試験における全ての動物の使用を、動物福祉法の下で規制することが喫緊に必要であると強調している。

一方、米国農務省(USDA)が発表した最新のデータによると、2019年の米国の研究所で使用された動物福祉法の対象となっている動物(霊長類、ウサギ、犬、ハムスター)の数は934,771匹で、2018年から3.4%増加した。

欧州委員会の最新の数値によると、EUでは2018年に、“新たに”約1,060万匹の動物が科学実験に使用された。EUで最も使用されている動物は圧倒的にマウスで、魚やラットがそれに続く。EU加盟国は科学分野で使用するために“繁殖されて殺処分された”動物の数を別途報告しており、2017年にはその数は約1,260万匹に達し、その83%がマウスであった。これらには、数多くの、遺伝子操作された特性を持つ個体の繁殖に使用されたマウスや、モノクローナル抗体など、研究に使われる生物学的製剤の製造に使用されたマウスが含まれる。

  1. *1国際的な科学雑誌Natureのウェブサイト
  2. *2米国の動物福祉法では、動物実験施設の国への登録、国による査察、使用動物数の年次報告等が義務付けられている。ただし、その対象動物種から、研究用に繁殖した鳥類、ラット、マウスは除外されているため、これらの種の使用数は不明で「推定」となる。
  3. *3American Anti-Vivisection Society: アメリカ動物実験反対協会/米国
  4. *4米国ペンシルベニア州の財団。生物医学研究、製品試験、教育における動物を用いない手法の開発、検証、採用を促進するために資金を提供し、推進することを使命としている。
  5. *5動物福祉法によって規制されている種からの外挿による米国の研究所におけるマウスとラットの使用数の推定(JAVA訳) https://www.nature.com/articles/s41598-020-79961-0

110 Million Rats and Mice Used in U.S. Labs (AAVS)
AV magazine2021/Number 1, p3)

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