環境保護庁が哺乳類を用いた実験を段階的に廃止<米国>

2022年3月1日

環境保護庁(EPA)は、動物実験への依存を減らすために有意義な政策変更を続けている。2019年9月、EPAは「2025年までに哺乳類を用いた研究の要請および助成金を30%削減し、2035年までにそれらを全て廃止する」と発表し、より意欲的な取り組みの一つを明らかにした。そして、動物への依存を迅速に減らすための取り組みの一環として、動物実験が重複した結果をもたらす場合(1つの実験が 2つの懸念事項に関するデータを提供できる場合など)、どの段階で動物実験を省略できるかを決定するための措置を講じている。そして、新たな科学的情報や更なる公衆衛生保護への寄与がほとんどない場合は、特定の化学物質安全性試験の実施を免除している。また、動物実験ではなく代替法によるより優れた化学物質のリスク評価の方法を導入するために、世界的な消費財メーカーのユニリーバと新たな共同協定を結んだ。

また、EPAは代替法を有効とすることを目的に、National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine*に対して、化学物質の曝露によるヒトの健康リスクを評価するためのマウス、ラット、モルモットなどの哺乳類を使用した、「絶対的基準」とされる毒性試験の変動性と妥当性に関する評価報告書の作成を依頼した。このEPAの取り組みは、代替法の導入に重要な役割を果たす。というのも、通常、動物を使わない手法は、動物実験による結果を再現できるかどうかによってその妥当性が検証される。それが、ヒトに対する結果をより正確に予測できる可能性のある代替法の導入を遅らせているからである。

  1. 米国の民間の非営利団体。世界が直面する課題に対して専門家のアドバイスを提供。

EPA TO PHASE OUT TESTS USING MAMMALS (AAVS)
AV magazine2021/Number 1, p3)

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