2022年に承認された痛みとストレスに関する3つの研究計画<フランス>
2022年初頭よりフランスは、承認済み動物実験計画概要をALURES統計 EU データベース〈*1〉に公開している。私たちOne Voice〈*2〉は、2022年7月に公開された3つの研究計画に注目した。
1 . 子宮内ストレス、細菌感染、慢性苦痛に関する実験計画
子宮内ストレスと細菌感染がどのように子孫に慢性的な疾患をもたらすのか、そして、その治療法を見つけるための実験。840匹の妊娠マウスに、6日間、1日3回、30分間、固定チューブに入れたまま明るい光を当てる(2つのストレス要因)。その結果生まれた不安抑うつ障害が見られるマウスを使って、強制給餌による細菌感染、電極の埋め込みなど様々な実験を行う。
2 . 製薬会社が鎮痛剤をテストするために必要な、様々な疼痛モデルの開発
すでに10種類の疼痛モデルが作られているが、11種類目を開発しようとしている。そのために2,428匹のラットを用いて、坐骨神経や脊髄神経の結紮や、脛骨へのガン細胞の移植、膝の一部の軟骨の切除、足裏に炎症物質の注入などを行う。そして、様々な物質を試す、1日3回首や尾、目、心臓から採血をする、患部の足を42度の湯に何度も浸すなどして痛みの反応を調べる。
3 . 腸の炎症性病変に対する様々な物質の抗炎症や鎮痛作用の可能性のテスト
300匹のモルモットを24時間絶食させてから結腸に炎症試薬を塗布し、試験対象の薬物で治療し、1~2週間にわたり定期的に痛みをテストして炎症の推移を観察する。計画概要には、鎮痛剤や抗炎症薬を与えないことや、炎症による痛みが「激しく」なった場合は、殺処分すると書かれている。
過酷な実験を終わらせるために
いずれの実験も、終了後に動物は殺処分される。
今日のフランスで合法化されているこれらの慣行は、動物実験禁止を成功に導くには、動物実験を永続的に望む人々の非倫理性や嘘に対して戦いを挑むだけでは不十分であることを思い起こさせる。文化的、政治的、および規制上の変化も同様に重要なのである。
- *1EU加盟国で科学的目的のために使用される動物に関するオープンアクセスデータベース。使用動物数、動物種、実験手順などが掲載されている。
- *2動物保護団体/フランス
Trois projets de recherche sur la douleur et le stress approuvés en 2022 (One Voice)