LUSHの「NO動物実験ポリシー」の重要性をスタッフに訴え
自然派コスメのLUSH(ラッシュ)が今年日本上陸25周年を迎えました。
それを記念して2024年7月1~4日、東京・原宿で開かれた、全社員向けイベント“LUSH ReMind Roadshow”のトークセッションに登壇させていただきました。
JAVAは4日間のうち前半の2日間、メイン会場で開かれたトークセッションに登壇。「入社して3年以内のスタッフが多いんです」とご担当者。働き始めたときにはすでにEUでは化粧品の動物実験が禁止、日本でも複数の大手化粧品メーカーが廃止宣言をした後……ということを考え、JAVAのこれまでの化粧品キャンペーンの軌跡に加え、LUSHの「NO動物実験」ポリシーの大切さを第三者の立場からお伝えすることにしました。当日は、若いスタッフの皆さんで会場がいっぱいになり、身を乗り出すようにして話に耳を傾けてくださったのが印象的でした。以下、お話しした内容を要約編集してお届けします。
アナログな市民活動
25年前の1999年と言えば、犬猫たちの殺処分数が年間約43万頭(※2022年は約1万7千頭)、そのうち実験用として研究施設などに自治体から払い下げられる動物たちがいたころです。動物に対する市民の意識はまだまだ低かったと言わざるを得ません。JAVAは1986年の設立からまもなくして、化粧品の動物実験に反対するキャンペーンに着手しました。インターネットも普及していない中で、この問題を広めるために、各地でパネル展を行ったり、デモ行進を行ったりと、まさに地べたを這うような草の根の活動でした。
LUSHの「NO動物実験」ポリシー
LUSHは1993年の創業から一貫して「化粧品の動物実験反対」を掲げていますが、化粧品の動物実験反対の有名な存在として、EUにおける化粧品の動物実験禁止法制定をけん引したザ・ボディショップが挙げられます。LUSHの創立者兼CEOであるマーク・コンスタンティン氏は、LUSHをつくる前にザ・ボディショップのアニータ・ロディック氏といっしょに化粧品を作っていたと聞いています。アニータさんはすでに亡くなり、残念ながら同社の欧米での経営は破綻に陥ってしまいましたが、化粧品企業として化粧品の動物実験に反対する姿勢と理念は、LUSHにきちんと受け継がれていると受け止めています。
LUSHからの財政支援
LUSHのチャリティポット(※)を通じて、JAVAは、2008年のコスメガイド作成、2010年の展示パネル作成に際して助成を受けました。LUSH はJAVAのような動物保護団体だけでなく、他分野にわたって数多くの団体に助成を行っていますが、慢性的な資金不足の草の根団体にとってたいへんありがたく、同時に、取り組む課題をお客様に知ってもらえるのも大きなメリットです。
また、代替法開発とその普及そして動物実験の廃止を目指す研究者や活動家を財政的に支援するために、LUSHが2012年に創設した“LUSH PRIZE”では、世界中の応募者の中から、JAVAは栄えある第1回目の“PUBLIC AWARENESS(世論喚起)部門”賞を受賞。この際、約400万円を賞金としていただきました。2008年から始めた資生堂のキャンペーンの功績を認められての受賞でした。
資生堂キャンペーンとは
業界最大手の資生堂に対して2008年後半から働きかけを始めたこのキャンペーンでは、動物実験の廃止を求める署名約46,000筆を集めました。友達や知り合いに直接頼んで書いてもらう、署名用紙をコピーして使ってもらうなど、オンライン署名が当たり前となったいまとは隔世の感があります。
当時は市民団体の声を正面から受け止める企業は少なく、JAVAでは署名提出以外にも、株主総会の会場前でチラシを配ったり、メンバーが株を購入して株主として動物実験廃止を役員たちに訴えたりと、いろいろな方法を駆使しました。
こういった私たちの“本気”が伝わったのか、資生堂はこのあと、消費者団体や弁護士、研究者、マスコミ、JAVAを含む動物関係団体など、さまざまなステークホルダーをメンバーとした「円卓会議」を招集して、動物実験廃止に向けて真正面から取り組むことになります。当時、企業とNGOの関係は対立的なものがほとんどであった中、企業の社会的責任(CSR)という観点から「対話」の形式を取り入れた先駆的な取り組みであったと思います。円卓会議は、署名提出後の2010年に招集され、資生堂の2013年の動物実験廃止の役員決定を経た1年後の報告回まで、計6回開かれました。
LUSHという“メディア”の一員として
2013年に資生堂が動物実験廃止に踏み切った後、上位にランクインする大手メーカーのほとんどがそれに追随しました。それをもって「動物実験問題は終わった」と思われがちですが、まだ終わっていません。現在、先進する他国同様に化粧品の動物実験の法規制を求めていくことを検討しています。その際には、皆さんにも、店舗というメディアの一員として、その機運の醸成に力を貸していただきたいと思います。
最後に、LUSHのCEOのマークさんは“Cosmetic Revolution(化粧品を通して革命を起こす)”と言っています。革命という言葉は、一夜にして体制がガラッと変わることを想起させますが、私はこれは【不断の努力による変化】だと思っています。LUSHが生まれて30年間、さまざまな人たちがかかわって、多くの市民とともに、少しずつ「化粧品」を通して前進してきた結果、いま多くの国々で動物実験禁止が実現しています。ここにいる皆さんもぜひ、誇りを持ってこの【革命】のプレイヤーになってほしいと思います。
※チャリティポット
人権擁護、動物の権利擁護、環境保護などの社会課題に取り組む草の根の市民団体を応援するLUSHのプログラム。「チャリティポット」という商品の消費税を除く売上げの全額を、対象団体に活動資金として寄付しています。