教育という名での動物虐殺 解剖実習をしている学校にNO!を

学校で行われる“解剖実習”。これもれっきとした「動物実験」です。
JAVAは多くの学校での解剖実習の廃止を実現させてきました。しかし、未だに解剖を続ける学校が後を絶ちません。

解剖用に用意された動物たちの末路

学校の実習室に用意されたカエルやネズミといった動物たちは、獣医師や実験動物技術者の資格もない教員や生徒によって、容器に閉じ込められ、入れられた薬品を吸入して時間をかけて麻酔をかけられます。
そして、生徒たちは腹部を切り開らき、体内の構造や心臓が動く様子などを観察します。その後、臓器や血管、筋肉を取り出して触れたり、それら臓器等を解剖したり、観察・スケッチをします。当然、動物は死に至ります。

多くの学校が解剖実習を廃止

JAVAは長年、学校から解剖実習をなくすために取り組んできました。そのきっかけは生徒さんたちからの「解剖実習があるけれど、やりたくない」「解剖をやらされて辛かった」「自分の通う学校から解剖をなくしてほしい」という悲痛な訴えです。JAVAはそういった声を受けて学校に働きかけ、これまでに多くの学校が解剖実習の廃止を決断しました。

JAVAが解剖実習に反対する理由

JAVAは次のような理由から、解剖実習に強く反対し、廃止のための取り組みを続けています。

  • 動物を苦しめ、命を奪う非常に残酷な行為である。
  • 解剖をやるもやらないも学校や教師の考え方次第であり、野放し状態となっている。
  • 多くの生徒が解剖体験で傷つき、苦しんでいる。
  • 動物虐待と凶悪犯罪には深い関連性がある。
  • 解剖は生徒の精神に悪影響を与える。
  • 動物実験のない教育が学校のみならず、大学でも広まってきている。
  • 知識を身に付けさせるなら代替法で行うべきである。
  • 死体の解剖も子どもを傷つけ、生命倫理観を狂わせる。
  • 獣医学生の実習で利用される献体とは明らかに異なる。
  • 麻酔として使用するジエチルエーテルは、動物に苦痛を与えるだけでなく、引火性や爆発性があり、人間の命と健康も脅かし、極めて危険である。

※詳しくは、JAVAのウェブサイト「JAVAが動物の解剖実習に反対する理由」をご覧ください。

解剖実習をやめる気がなく、やり続ける学校

JAVAからの問題指摘を受け入れ、解剖実習の廃止を決めた学校が多数ある一方、下表のように生徒さんたちの声を無視し、JAVAの指摘に耳を傾けることもなく頑なに解剖を続ける学校があるのです。
また、学校以外にも、民間企業が運営する子ども向け科学教室、サイエンス塾でも解剖を続けているところがあります。

生徒の気持ちを蔑ろにし、解剖実習をやりたがる教師

解剖をするのが嫌で拒否する生徒さんもいますが、それはほんの一部であり、「成績に影響したら困る」「先生に嫌われたら学校に行けなくなる」といった不安から、言い出せないケースがほとんどです。「やりたくない」という気持ちを伝えることができず、嫌な気持ちを押し殺して実習に参加し深く傷ついた生徒さんも多くいるわけです。
教育者であるならばそのような生徒たちの心情にも当然、配慮しなければなりません。それにもかかわらず、生徒たちの意思や気持ちを無視するとは言語道断です。

解剖の強制はパワハラ

体罰が学校教育法第11条にて禁止されているのはもちろんのこと、「人権教育・啓発に関する基本計画」(平成14年3月15日閣議決定)においては、「教職員自身が学校の場等において子どもの人権を侵害するような行為を行うことは断じてあってはならず、そのような行為が行われることのないよう厳しい指導・対応を行っていく」とされています。嫌がる生徒に解剖行為をさせることは、まさに生徒の人権侵害であり、教師の権力を振りかざしたパワーハラスメントとも言える暴力行為です。

「解剖を嫌がる生徒に強制はしていない。見るだけでも、他の学習方法でもいい」と主張する学校が結構あります。そう言ったとしても、解剖したくないと言うことは教師に逆らうことになることから、生徒は率直に言い出せないのが現実です。それだけでなく、JAVAには「自分は解剖を行う授業を選択していないけれども、自分の通う学校で動物が殺されているかと思うと悲しい」という声も多数届いています。生徒さんたちは、自身が解剖をしないですめば良いと考えているのではなく、自分たちの学校で動物たちが実習によって苦しめられ、殺されているということ、動物の体が切り刻まれていることに心を痛めているのです。

知識を身に付けさせるなら代替法で行うべき

動物の体の仕組みや発生の過程などを学ぶ方法には、生体や死体を用いる以外にも、コンピュータシミュレーション、動画、精巧な3Dの模型など様々あります。そのような代替法を使用すれば、たとえば解剖の過程を何回でも繰り返しでき、また生徒一人一人が自分のペースで行うことができるなど、多くのメリットがあります。そして、生き物を用いて解剖を行った生徒と代替法で学んだ生徒では、その知識に差はない、もしくは、代替法で学んだ生徒の方が優秀であったことが数多くの研究で証明され、論文が発表されています。つまり、生徒たちの気持ちを第一に考え、さらに学習効果も考えたら、解剖実習など行えないのです。

大学での解剖以上に多くの問題が

医学部、獣医学部、薬学部といった医系の学部でも動物の解剖実習を行わない大学が増えてきています。学校や塾で行う時には、次のように大学や研究機関で行う場合以上の問題が存在するのです。

解剖実習をしたがる理科系教師の一存で行われる

大学や研究機関とは異なり、施設内の動物実験委員会に動物実験計画書を提出し、審査を経て承認を受けるという制度がない。学校の場合、解剖をやりたいという教師の考え一つで実施できてしまう(つまりは、教師の一存でやめることもできる)。

動物を苦しめるだけでなく、人間の命と健康も脅かし、極めて危険

学校には医師や獣医師はおらず麻酔薬は扱えないことから、麻酔には化合物であるジエチルエーテルを用いるのが一般的。しかし、このジエチルエーテルは、引火性や爆発性があって危険な上、吸入させられた動物には気道刺激性があり苦痛を与える。そのため、大学や研究機関でさえも実験動物へのエーテル麻酔は認めないのが通常。
動物愛護法に基づく「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準の解説」にも「ジエチルエーテルは、引火性及び爆発性があり、労働安全衛生上極めて危険である。動物に対して気道刺激性が強く、流涎や気管分泌液の増加、喉頭痙攣等の副作用がある。医薬品として販売されておらず、倫理的観点からも推奨されない」と記されている。

素人である教員が指導し生徒が扱うため、動物に大きな苦痛を与える

  • ジエチルエーテルは量が多すぎると心臓が止まり、少なすぎると解剖の途中で覚醒してしまうが、量の判断や麻酔が効いているかどうかの判断を素人である教師が行うことになる。
  • ネズミは殺してから解剖する場合もあるが、その場合、熟練者が行うべき頚椎脱臼を教員が行って殺しているケースもある。なお、熟練者が実施する場合も事前に鎮痛薬や麻酔薬の投与が推奨されているが、学校ではこれは当然実施できない。
  • 学校には実験動物技術者の資格を有する者もおらず、動物たちの取り扱いは、不慣れな教員の指導の下、生徒たちが行うことになり、不適切な方法で保定、麻酔、切開などをされる可能性が高い。

解剖実習のない学校への進学を

進学する学校を決める判断材料として、ぜひ「解剖実習がない」「動物を苦しめたり、犠牲にする授業がない」という点を考慮してみてください。
生徒さんの心への悪影響を回避し、知識を身に付けさせるとともに、生命を尊重する態度も養わせるには、解剖実習ではなく、動物を犠牲にしない方法で学ぶのが一番です。そういった教育を行っている学校をお薦めします。

もう我慢しなくていい、「解剖実習やめて!」と言おう

誰もが、他者を犠牲にしたり、命を奪うことのない教育、「かわいそう」と心を痛めることのない教育を受ける権利があります。
繰り返しになりますが、解剖実習は義務ではなく、学校、教師の判断で今すぐにやめることができるのです。我慢することなく、「解剖実習をやめて!」という意見を学校に伝えてください。

※解剖している学校の情報をお寄せください※
学校や科学教室で行われている解剖実習の情報をお寄せください。情報提供者の方の秘密は厳守いたします。

解剖実習を続けている学校・科学教室

※解剖の情報は知り得た範囲であり、他にも実施されている可能性はあります。

< 学校 >

< 科学教室等 >

TOP